Google Workspace、Google Cloud Platform の導入で、劇的なデジタルトランスフォーメーションに成功
1997 年設立。土地を確保し、家を建て、それを売るまでを一気通貫で行なう、SPA(製販一体形)のビジネスモデルで、新築戸建物件の販売を行なう。2012 年以降、自社ブランドによる営業を開始し、知名度も向上。現在は国内だけでなく、海外(米国・中国)でも精力的に事業を拡大している。
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〒100-6312 東京都千代田区丸の内 2-4-1 丸の内ビルディング 12F
https://oh.openhouse-group.com/
Google Workspace、Google Cloud Platform の導入で、劇的なデジタルトランスフォーメーションに成功
東京 23 区と名古屋エリアを中心に不動産業を展開する株式会社オープンハウス。ユニークなテレビ CM でも知られますが、2013 年 9 月に東証一部上場して以来、売上高の CAGR(年平均成長率)は 30% を超え、業界随一の高成長を続けています。そんな同社は、今から 2 年半前に社内 ICT システムの大幅刷新を実施。オフショア開発と Google Workspace、Google Cloud Platform(GCP)の組みあわせで、劇的な業務効率向上とコストダウンを実現しました。
Google Workspace の導入による業務効率向上で働き方が変わった
Google Workspace 導入の目的は、... 情報共有の最適化によって、お客様に正しい情報を速やかに提供できるようにすることと、営業部隊が効率的に業務を遂行できるようにすること。
「それまで我が社では、メールシステムのみクラウド環境で、他社内システムは社内にサーバーを構築、運用していたのですが、2015 年初頭にオンプレミスへの投資を停止。コミュニケーション基盤を Google Workspace に移行し、同時に全社員にスマートフォンを持たせることで、“モバイルファースト” に大きく舵を切りました。」
そう語るのは、株式会社オープンハウスの CIO(最高情報責任者)である、田口 慶二さん。それまで同社では、営業部隊の情報共有を社用のフィーチャーフォンへのメール一斉同報などで行なっており、それが正確な情報共有を妨げていたのだそうです。あるときは、メールの文字数制限で重要な情報が現場に届かず、大きなトラブルを引き起こしてしまったということも。そうしたトラブルを未然に防ぐため、ミドル / バックオフィスの担当者が、わざわざ現場の担当者に電話して回るという非効率も発生していました。
「Google Workspace 導入の目的は、こうした情報共有の最適化によって、お客様に正しい情報を速やかに提供できるようにすることと、営業部隊が効率的に業務を遂行できるようにすること。そのために行なったことの 1 つが、営業資料の電子化です。物件情報などを全て PDF 化し、これを Google ドライブで共有することで、営業が出先から何時でも好きな情報を自由に取り出せるように。資料を取りに戻ってくる必要がなくなったので、直行直帰でも質の高い仕事ができるようになりました。」
面白かったのが、これによって “優秀な営業” の定義が変わったことだと田口さんは続けます。それまでは、毎朝、会社の資料庫から、適切な情報を素早く見つけることのできる者が優秀とされていたのですが、電子化以降は、より本質的な営業能力が問われるようになったそうです。
「また、Google Workspace の導入と並行して、申請書・稟議書などのやり取りも電子化したのですが、これによって、社長・重役決裁までの速度が劇的に向上しています。決裁時に参考資料として提出される現地写真も、スマートフォンで撮ったものを自動的にクラウドへアップロード・共有する仕組みを作ったことで効率化。これまでは調査から意思決定までおよそ 2 週間はかかっていたのですが、今ではこれが最短 2 日程度になっています。事業スピードが格段に向上しましたね。」
こうした劇的な「デジタルトランスフォーメーション」は、従来の非効率な環境で苦労していた現場スタッフ陣から大きな感動を持って受け入れられました。導入前は少なからず、やり方が変わってしまうことへの抵抗があることを想定していたそうですが、すんなりと移行できたとのこと。むしろ、情報を効率的に共有でき、会社に身体を縛られないメリットの方が大きかったようです。
「多くの社員が既に Gmail などの Google サービスを利用していたこと、そして、移行に際し、チェンジマネジメントの観点から、営業部門で活躍していた若手を情報流通のコミュニケーションエバンジェリストとして引き抜き、営業担当者の目線で新環境のペネトレーションに貢献してもらったこともスムーズな移行に貢献したと考えています。」
来たる “AI の時代” を見据えて Google Cloud Platform への移行を決意
GCP 導入のおかげで、開発チームが最も重要な企画部分に知恵と時間を割くことができるようになり、大きく作業効率が向上して います。もちろん、費用面でも既に大きな効果が出ています。
先に田口さんが語ったように、オープンハウスは 2015 年初頭にオンプレミスへの投資を取りやめ、同社の ICT 環境をクラウド化させていく道を選びました。近年、多くの企業が頭を悩ませているディザスタリカバリー(災害被害の予防・回復措置)対策や、安定稼働のための冗長化コストをオンプレミスで担保していくことが難しいと判断したためです。また、これを機に、これまでパートナー企業に依頼していた業務システムを自社開発に切り替え、さらなるスピードアップを図りたいという狙いもありました。
ただし、その際選んだのは、他社のクラウドプラットフォーム。そして、移行から約 2 年間、特に大きな問題は起きていなかったそうです。しかし、この春、オープンハウスは、SFA(Sales Force Automation)や工事物件管理システムなど、多くの業務システムを GCP に移行させはじめました。なぜでしょうか?
「これから先の、中長期的な IT 基盤を検討していくとき、今や AI は無視できない存在。我々としても、将来的には一部業務を AI にシフトしてコストを削減したいというもくろみがあります。そう考えたとき、実はモバイルシフト、クラウドシフトの際もそうだったのですが、我々と Google の見ている未来が重なっているな、と。また、これまではシステムリソースの監視をパートナー企業にお願いしていたのですが、GCP なら、Stackdriver を使うことで、従来の他社クラウドも含めてモニタリングでき、コストを大きく削減できるというメリットもありました。費用面では分単位で課金され、使っていない時にはお金がかからないというのも大きかったですね。その上で、昨年 11 月に東京リージョンが追加されたことも背中を押してくれました。」(田口さん)
こうして現在は、基幹システムのごく一部を除き、業務機能のほとんどを GCP に移行済み。他社クラウドから動かせないものについては、BigQuery 経由で接続し、GCP 上にデータを蓄積するようにしています。そして、来年以降はこうしたデータを AI で活用していく予定。機械学習(Machine Learning)、深層学習(Deep Learning)を駆使して KFS(Key Factor for Success)を浮き彫りにし、社内でのノウハウ共有、スキルの底上げ、定着の加速化に役立てていくそうです。
「GCP 導入のおかげで、開発チームが最も重要な企画部分に知恵と時間を割くことができるようになり、大きく作業効率が向上しています。もちろん、費用面でも既に大きな効果が出ています。あくまで一般論ですが、東証一部上場企業が IT 投資として売上の 1~1.5% を使っている中、我が社は、内製で機動的に動くことができる技術者を国内外に有し、サービス自体にかかる費用でも 30% 程度のコスト削減効果が得られているほか、GCP のライブマイグレーションにより冗長化の必要がなくなり、単純にコストが半分になるなどしたことで、5~6 分の 1 程度のコストで最先端の業務システム基盤を実現し運用することができました。今後も、Google Workspace と GCP、2 つのサービスがシナジーを生んでくれることに期待しています。」
※ Google Workspace は、2020年10月6日以前は G Suite として知られていました。